言語聴覚士のひとりごと-STブログ-

「学生さんや新人さんが理解しやすいように」を目標に、失語症・高次脳機能障害やST業務、書籍や文献の紹介など書いていきます。

復唱障害の考え方②【失語症のきほん】

 

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では、復唱障害のパート②にいきましょう!ここからがメインで、「復唱障害あり」となった場合の解釈と訓練について考えてみたいと思います。

 

↓前回の記事はこちらから

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復唱障害の解釈と訓練について

復唱障害を考える上では、障害のあり/なしだけでなく、どんな誤りをするのか傾向を見出す(誤反応分類をする)ことが重要です。

 

例えば「りんご」の復唱をした時に、

患者A:「かんご」

患者B:「みかん」

患者C:「めきと」

これらの反応があると「復唱障害あり」になりますよね。でも、この方達は全員違う障害ですので、これだけでは訓練は出来ません…

 

誤りの分類(誤反応の分析)をすると、例えば患者Aの「りんご→かんご」では音韻性錯語があるので、

1.音声入力がうまく入らなかった(難聴or語音弁別障害)

2.入力された音を保持(把持)できなかった(言語性短期記憶障害)

3.音韻の選択・配列ができなかった(音韻選択・配列(出力辞書)の障害)

4.音韻の選択・配列はできているが発音(構音)を誤った(発語失行or構音障害)

のように、色んな可能性があるんです。

 

例えば、4で発音が悪いのであれば、復唱だけでなく呼称・音読でも同じ誤りになりますよね。一方で、1や2の入力面が悪いのであれば、復唱以外では音韻性錯語は出ません。このように、復唱の誤反応分類をおこなうと共に、「他の(言語)課題との成績を比較する」ことが解釈には重要となります。

 

ここまでくると、訓練へのヒントが見えてくるかもしれません。 例えば復唱障害の原因が4番であれば、「構音の訓練」3番なら「音韻選択・配列訓練」と言ったことが考えられます。これらの目的を達成するために、「復唱課題」を訓練で用いるのであれば良いと思います。

 

注意点ですが、

「復唱障害あり」→訓練は復唱訓練!

「呼称障害あり」→訓練は呼称訓練!

これが1番だめな訓練プログラムです。「なぜ復唱が出来ないのか」のメカニズムが、まったく反映されていないからです。失語症の方の能力を度外視した評価や訓練は、出来なさを痛感して落ち込むこともあり得るのでご注意を…。

 

STは対象者の言語能力を最大限に引き出さないといけません。私たちSTは「なぜ◯◯が出来ないのか?」を詳細に分析し、その情報をもとに支援に繋げていくことが大事だと思います。 

 

まとめ

なぜ復唱障害が重要かについて、ご理解いただけたでしょうか?いっぱい書きたいことはありますが、だいぶ長くなってしまったのでこの辺で^^復唱課題をうまく利用して、よりよい支援に繋げましょう!