言語聴覚士のひとりごと-STブログ-

「学生さんや新人さんが理解しやすいように」を目標に、失語症・高次脳機能障害やST業務、書籍や文献の紹介など書いていきます。

失語症の参考書について②【中級者編】

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こんばんは!

 

前回は失語症の参考書について、新人さん・学生さん向けのものを紹介しました。 

www.st-hitorigoto.com

 

今回は【中級編】として、上記の参考書についてはほとんど理解しており、物足りない!!と言った方向けになっています。ちょっとマニアックですが、失語症を深く知りたい!という方には良いかもしれませんね。

 

3冊紹介するのですが、すべて日本高次脳機能障害学会の学術集会翌日に、サテライトセミナーというものが開催されるのですが、その内容を書籍化しています。

 

 

最初は、伝導失語のすべてが詰まったこれ!!

伝導失語-復唱障害、STM障害、音韻性錯語

伝導失語-復唱障害、STM障害、音韻性錯語

 

 

この書籍を書店で見たとき、つい笑ってしまいました笑 なんてマニアックなんだと…でも、何だかわたしの中で何が書いてあるんだろう…といった興味が湧いてきました。実際に読んでみると、音韻処理は、音韻を選択・配列するだけの単純なものでは説明できない現象も沢山あって、先行研究の知見から未解決のことまで網羅していました。

 

この書籍を買ったときはまだ2年目か3年目の時で、正直いって総論以外は理解できていませんでした。いまになって伝導失語や音韻のことでわからないことがあったときには、引っ張ってきて読んでいます。

 

次は超皮質性失語! 

超皮質性失語

超皮質性失語

 

 

伝導失語に続いて、超皮質性失語ですよ。笑

 

これまたマニアックですが、伝導失語と同様に先行研究の知見から未解決問題まで網羅された内容になっています。語彙・意味処理についても議論は沢山あってまだまだ未知数だということを感じます。

 

最後は、失語の花形!?とも言えるこれ!

錯語とジャルゴン

錯語とジャルゴン

 

 

タイトルのインパクトすごいですよね…笑 失語症のある方を担当するSTなら、錯語の誤反応分類をするのは必須ですし、多彩な錯語があると障害メカニズムの推定に難渋することもあるかと思います。そんなときに、研究レベルでどのような知見があるのかを勉強するには最適です。

 

ジャルゴンについても同様で、「意味不明な発話」ではリハビリにつなげることはできません。ジャルゴンにもさまざまな亜型があって、改善経過で変わってくることも知られています。

 

ジャルゴンや再帰性発話といった重度の患者さんに出る症候については「重度失語の症候学:ジャルゴンとその周辺」という本があったのですが、現在は販売されていませんので、今後はジャルゴンについてはこの書籍を元に勉強される方も増えていくと思います。

 

これ全部読むの?と思った方へ【上手な使い方】

多分、こう思った人もいるのではないでしょうか?なので、私がどのように使っているのかをお話ししたいと思います。

 

私は、上記の本に該当する患者さんがきたときに教科書として使っています。

 

上記の患者さんがきたときに、本当なら文献をすぐに集められれば良いのですが、臨床をしているとそうはいかないことも多いと思います。そのときに、重要な知見を確認しておきます。その後に論文を調べていくときに、書籍の引用文献を読む(孫引きする)ことができるので効率的に調べられます。

 

あとは、自分で論文まで読んでいく癖をつけていくと良いと思います。書籍に書いてあることは、複数の論文をまとめた意見のようなもので、これが結論ではないですし著者のメッセージとニュアンスが違うかもしれません。実際に自分で論文を読んで、解釈していけるようになりたいものですね。

 

上記の書籍に限ったことではないですが、就職して忙しくしている中でも患者さんはバンバンきます。先人の先生方は1つ1つ論文を読んで蓄積してきていたと思いますが、今は書籍が増えて入ってくる情報量も多くなってきています。なので、私は書籍を有効活用したうえで、最終的には【原著論文をあたる】ことに結びつけていけたら、良い学びになるのではないかな、と考えています。

 

いかがでしたでしょうか?ちょっとマニアックな書籍の紹介だったのですが、基本的な失語症の教科書では物足りなくなってきた方にとっては、面白い参考書ばかりだと思います。この話題で盛りあがれるSTが増えてくると嬉しいなーという願いも込めて書かせていただきました。

 

読んでいただきありがとうございました!