言語聴覚士のひとりごと-STブログ-

「学生さんや新人さんが理解しやすいように」を目標に、失語症・高次脳機能障害やST業務、書籍や文献の紹介など書いていきます。

やさしい高次脳機能の診かた④-論文紹介-【多職種向け】

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はじめに

さて、4回目ですね!3回くらいかな?と思っていましたが、だいぶ長くなってしまいました。笑

 

↓1〜3回目はこちら

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というわけで今日で最後にしたいと思います。笑 前回までと同様に、以下の文献を参考・引用して書いています。

【参考・引用文献】

やさしい高次脳機能の診かた.
著者:鈴木 匡子
雑誌:神経心理学.32;224–228,2016
https://www.jstage.jst.go.jp/article/neuropsychology/32/3/32_224/_pdf/-char/ja

 

統合する機能

個々の高次脳機能に問題がない状態でも,それらを統合して目的に適った行動がとれないことがある. 

 ここでのポイントは「個々の高次脳機能に問題がない」ということです。つまり、高次脳機能の階層性(ピラミッド)において基盤となる注意や覚醒、そして言語や記憶などに問題がないにも関わらず、というのが、評価する上で重要な所見となります。

 

例えば、道具が使えない方がいたとします。料理ができなかったとして、「二重課題」ができないから遂行機能障害!と思った(考察した)としましょう。

 

その時に注目するのは、

1.基盤となる機能

 →覚醒や注意に問題はないか

2.個々の高次脳機能

 →行為の障害(失行)はないか

 

ここに問題がないことを確認して初めて「もしかしたら遂行機能障害かも…」ということになります。

 

以下に、論文で紹介された2つの障害について紹介したいと思います。

 

遂行機能障害

目標に向かって段取りを決め,それに沿って行動し,その結果を見なが ら適宜修正を加えていく一連の行為が上手くでき ない.たとえば,料理をする際には,必要な材料を揃えるところから最終的にできあがるまでには 複雑な過程があり,どの段階で失敗があっても料理はうまく完成しない.

先ほども、例で遂行機能障害を挙げましたが、やはり料理は例えやすいですね笑

 

この場合も、基盤となる機能や個々の高次脳機能に明らかな問題がないケースにおいて、上記のような問題がある場合に「遂行機能障害」と考えることが出来ます。

 

②社会的行動障害

周囲の状況に応じて自分の 行動,発言をコントロールしていくことの障害である. 

 これは頭部外傷の患者さんなどに多いですね。医療者やご家族が対応に困ることの多い症状ですね。この障害に該当する患者さんも、知能検査や記憶検査などにはまったく引っかからない方もいます。重度だと、検査に応じてくれない場合もありますので難しいばあいもありますが…

 

近年は、頭部外傷例に認知行動療法を活用する方法も論文が出てきていますので、知識をアップデートするのが大事ですね。

 

まとめ

はい、終わりました。笑

4回に渡って鈴木匡子先生の「やさしい高次脳機能の診かた」という総説論文を引用しながら、少し私が経験した患者さんの例を紹介させてもらいました。

 

これから実習にいく学生さんや、新患さんを担当し始める新人さん、もしくはSTではない、高次脳機能障害に関わる多職種の方に読んでもらって、少しでも患者さんへの訓練や支援に役に立てていただけたらと思います。

 

ブログで論文の内容を紹介するのは結構難しいですね。私が大事だと思ったところを抜粋して紹介していますが、著者の思いと異なっていないかが心配な面はあります。

 

やはり原則は「自分で論文を読む」ことが大事なのかと思います。当ブログで紹介することによって、少しでも論文をよむハードルを下げられたら良いな、と思ったりもしています笑 これからも、私なりに伝えていきますのでよろしくお願いいたします。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!