言語聴覚士のひとりごと-STブログ-

「学生さんや新人さんが理解しやすいように」を目標に、失語症・高次脳機能障害やST業務、書籍や文献の紹介など書いていきます。

【学生・新人さん向け】標準失語症検査(SLTA)の解釈について①-プロフィールを「読み取る」力-

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はじめに

失語症の臨床で、日本では最も用いている検査が「標準失語症検査(以下,SLTA)」です。この検査、多分なんとなく実施するだけなら検査練習をすればできるかもしれません。

 

でも、これを「正しく解釈」して訓練に繋げるとなると、簡単ではありません。

 

おそらく学生さんが実習で苦労するのも、臨床に出た新人さんが失語症の患者さんを担当して苦労するのも、まずはこれかなと思います。

 

今日から数回(多分3-4回になると思います)に分けて、SLTAの解釈について記載のある書籍を引用しながら紹介していきたいと思います。

 

初回は導入として、神経心理学的検査を実施する上での注意点と、検査結果を解釈する意味について書きました。

 

参考・引用書籍

読んだことのある方も多いと思いますが、小嶋知幸先生の名著「なるほど!失語症の評価と治療」のなかにSLTAの解釈について書かれています。

 

以前、当ブログでも紹介していますが、ぜひ手に取って読んでもらいたいです^^

なるほど!失語症の評価と治療―検査結果の解釈から訓練法の立案まで

なるほど!失語症の評価と治療―検査結果の解釈から訓練法の立案まで

 

 

神経心理学的検査を実施する上での注意点

まず、SLTAに限らず神経心理学的検査を実施するのは、患者さんへの負担が大きいことを検査者は十分に自覚しなければなりません。

 

その上で「なぜこの検査を実施するのか?」を考えてから実施しましょう。患者さんに説明できるくらい明確な根拠を持っていることが望ましいです。

 

患者さんにあう「適切な評価」は、訓練をする上で必ず必要ですので、信頼関係を築いた上で実施しましょう。

 

もちろん検査を実施するだけがすべてではありません。会話や生活場面から推測できることも沢山あります。どちらか一方にならないのが大事だと、私は感じています。

 

SLTAなどを実施すると、プロフィールがでますよね。ここまでの過程は皆さん養成校で実施していた通り、みんなで練習をしたりマニュアルを読んだりすること以外にできることはありません。

 

神経心理学的検査をおこなううえで最も大事なことは、「マニュアル通り」に実施することです。

 

と言いつつも、臨床現場だとそうもいかない場面も色々とあると思います。そのときは「◯◯だからできなかった」とすぐに諦める前に、「どうしたら検査を実施できるのか」を考えるとよいと思います。

 

ただし、明らかにマニュアルを逸脱した方法はダメだと思いますけどね。そして、その場合には必ず備考欄などに記載しておきましょう!

 

検査結果を解釈するということ

さて、ここからが小嶋先生の書籍を引用しつつ、お話をしていきたいと思います。

 

SLTAをおこなうと、プロフィールができますよね。これは、各下位項目(例えば「呼称」とか「単語の聴覚的理解」とか)の成績を数値化したものになります。

 

・・・これをみて、すぐに訓練できますか?

 

新人の頃の私は、この時点で既に訳がわかりませんでしたし笑、1人でSLTAもちゃんとみれないのか…と思いました。おそらく、大多数の若手STがいきなり解釈して訓練につなげることは難しいと思いますので、ぜんぜん心配することはないです^^

※もしこれをみた先輩STさんは、ぜひ新人さんの解釈を助けてあげてくださいね!!

 

なぜ、このようなことが起こるかというと、小嶋先生はこのように述べています。

・プロフィール自体は、個々の下位検査にどれくらい正答できたかを示しているだけで、障害のメカニズムを説明してくれるものではない

・言い換えると、検査プロフィールは障害の量的側面を示すものであって、質的側面を示すものではない              (p53)

 具体的なたとえとしては

・単語の復唱の成績が50%であったとしても、単語の復唱に低下をきたす原因は1つではない

・原因が異なれば当然訓練の方法が変わってくるため、失語症の検査結果にもとづいて訓練法の立案をおこなうためには、プロフィールを読み込む(解釈する)という作業が必要     (p53,一部を抜粋して引用)

と記載されています。

 

このように、「◯◯(例えば復唱)ができない!」となった場合の原因は沢山考えられます。その際に大事な視点として、解釈するという作業が重要になります。具体的なSLTAプロフィールの解釈については、次回から紹介させていただきます。

 

ちなみに、「復唱障害の考え方」についてブログを書いたことがありますので、そちらも参照していただけたらと思います。

 

www.st-hitorigoto.com

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最後まで読んでいただきありがとうございました!次回からが実際の解釈になりますので、お楽しみにしていてください!