言語聴覚士のひとりごとBlog

「学生さんや新人さんが理解しやすいように」を目標に、失語症・高次脳機能障害やST業務、書籍や文献の紹介など書いていきます。

STがおこなう自由会話(フリートーク)について

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はじめに

こんばんは!

 

今回は、フォロワーさんからリクエストをいただいたので、「STがおこなう自由会話」について考えたいと思います。

 

テーマは学生さんからいただいたのですが、とても大事ですよね!

(リクエストありがとうございます!!)

 

実習にいく方にとっても、患者さんに対峙した時に確認するポイントなどについても、触れていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 

アンケート調査をしてみました

Twitterにはアンケート機能がついているため、皆さんにご協力いただきやってみました!ご協力いただいた沢山の方、ありがとうございます^^

 

なんと116名も協力し下さりました!もしかしたら、学生さんも含まれているかもしれないですね〜^^

 

 

この結果をみると、ST(+養成校の学生さん?)だからといって、会話に対して絶対の自信を持っているわけではないということが分かります。

 

まず、若手のSTさんや学生さんに結果も踏まえて感じてほしいことがあります。

 

それはどんなに完璧にコミュニケーションをとっている(ように見える)STであっても、会話が得意だとは思っておらず、「日々、悩みながら」臨床をされているのかなと思います。

 

これを知っておくだけでも、少し気が楽になりませんか?笑 多分、ベテランのSTの方も回答していただいているかと思いますが、すごく得意と答えたのは4%ですよ!なので、苦手と感じていたとしても恥じる必要はありません^^

 

といいつつも、うまく話せるに超したことはありませんよね。

 

さて、次からが本題に移っていきたいと思います。

 

STが自由会話をおこなう意義について

まず私たちリハビリテーション職の臨床現場では、対象の方の支援に繋げることを目的として、一定の時間かかわらせていただく仕事かと思います。その際、必要な情報収集をおこない、その後に評価や介入をおこないます。

 

「自由会話」というのは情報収集はもちろんですが、信頼関係を築くこと、会話の中で機能訓練をおこなうことなど、考えると結構むずかしいです(笑)

 

ちなみに、「雑談」をすることは、信頼関係を築くために必要なプロセスとして捉えれば良いとは思いますが、対象の方の支援に関わる貴重な時間の一部を使っていると意識も必要かなと思います。

 

基本的には自由会話をおこなうことは他の訓練と同じように目的が必要です。だらだらと会話を続けることで、無駄話をしていると対象の方に思われないように気をつけたいものですね。

 

会話からわかる音声言語機能の特徴

 ここがSTの真骨頂とも言える所ではないでしょうか?

 

以前、日本言語聴覚学会で「話せばわかる-自発話から診る障害メカニズム-」という素敵なテーマで講演がありました。

 

私は残念ながら聴講できなかったのですが、タイトルからも分かる通り自発話にはSTが関わる領域に関する障害の特徴が詰まっていると言えます。

 

1.言語の理解・表出について

ここは、失語症などの言語機能に明らかな障害があるかどうかを評価します。

 

例えば、

質問の内容を理解できているか?(聴覚的理解)

まずそもそも耳は聞こえているのか?(難聴)

文字を書いたら理解できないか?(難聴or語音弁別障害、語義聾など)

つじつまの合わない発言はないか?(全般的な発話産生)

錯語はでていないか?(語彙・音韻の産生)

 

などがありますね。ごく軽度の失語症の場合には、簡単な問診でははっきりと症状が出現しない場合もあります。

 

会話ででないんだから良いじゃないか!と思う方もいるかもしれませんが、患者さんの今後の生活(例えば復職希望など)や、自身の障害をどの程度感じているのかによって、すごく軽かったとしても介入が必要な場合もあるので、きちんと評価をしましょう。

 

2.発声発語機能について

これも大事ですね。

 

構音障害や吃音の方などの方は、それ用に評価(例えば構音検査やAMSD)をとります。ただ実際の会話で本当に評価結果と一致しているのか?を観察する必要があります。

 

なぜなら、検査場面というのは多かれ少なかれ患者さんを緊張状態にさせてしまいますし、検査場面と自発話で乖離する場合もあり得るかと思います。

 

特に若い療法士さんや学生さんは、例えば失語ならSLTAの結果だけをみて判断することが多いです。あくまで私たちが介入するのは「日常生活」での会話についてです。

 

自発話から得られることはとても多いので、会話の中から推測しましょう!

 

3.全般的な認知機能について

これは、やっている方も多いのではないでしょうかね?

 

見当識や過去のエピソードなどを聴取することによって、認知機能低下の疑いがあるのかなどを推測しています。

 

例えば、今日の見当識がわからないのであれば、わからないで終わるのではなく、回答を教えて復唱してもらったり(ちなみに構音障害があれば構音訓練にもなります)、少し時間が経っても覚えているのかを確認(記銘力)することも、大事なことなのかなと思います。

 

堂々と話しているのに、後でご家族の方に聞いたら全部作話だったということもありましたので、ご本人からの情報をメインにしつつも、色んな可能性を視野に入れておこなうことが重要です。

 

具体的に何を話せば良いのか?

皆さんはこれが知りたいのかもしれないですね(笑)

 

ここは、本当に難しくて明確な答えはないと思います。Twitterでアンケートをとった際に、フォロワーさん達からいただいた意見を参考にして、考えてみました。

※一部改変していますので、ご了承ください。

 

まず、大前提として最初の問診では家族背景などの細かい話は慎重になった方がよいと思います。情報収集をしたうえでおこなうこともありますが、複雑なご家庭も多いと思うので注意しましょう。

 

もちろん、問診として主訴をきくことがすごく大事です。ほかにも利き手や学歴、仕事について伺うことは当然ありますね。

 

「主訴」を聞くことの重要性については、これだけでブログ1回更新できそうなので、これくらいにしておきます(笑) 

 

対象の方でも、男性は仕事の話が好きな方は多いですね。やはり世代的にも団塊の世代付近の方は仕事一筋!という人も多いので、よいと思います。

 

あとは性差は関係なく、趣味があればその話について伺うのも良いかもしれません。

 

こういう会話をしているとき、最初はあまり自己の障害を意識させない方が、評価としての正確性が増す(無理矢理意識することで、的確な評価に繋がらない)ことも多いので、私は初回時には必ず会話を多めにさせてもらっています。

 

あとは、普段からニュースをみたり新聞を読んだりするのも大事ですし、対象の方の趣味を知って、興味を持って自分で本を読んで 読んだ話をしたり、映画を実際にみてみたり…私はそうやって会話をしていますかね?

 

あと、フォロワーさんの、のりさん(@nori_____pvq )さんが興味深いサイトを教えてくださりました。

next.rikunabi.com

 

これ、すごいですね!私も普段意識していることは多かったですが、あらためてみてみると参考になります。

 

ただ1点気をつけていただきたいのは、STは「会話」をすることが目的ではありません。

 

「会話」を通して、言語聴覚療法としての評価や訓練をおこなうことが本来の目的です。その視点を持って、「会話」を上手に扱えるSTになりたいものですね! 

 

おわりに

色々と書いたので長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

STがおこなう自由会話って、結構細かい所まで考えてやっていることも多いです。でも、それ自体かなり難しいので私も含めてすごく得意と感じている人は少ないようですね。

 

対象の方との信頼関係を築くためのツールとしてはもちろん、STとしての評価や介入などにも上手く活かしていけると良いですね^^