言語聴覚士のひとりごとBlog

「学生さんや新人さんが理解しやすいように」を目標に、失語症・高次脳機能障害やST業務、書籍や文献の紹介など書いていきます。

重度失語の患者さんに関する考え方について【質問箱への回答】

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さて、質問箱で上記の質問がきましたね。

またまた、ブログで返答してみたいと思います^_^

 

重度の失語症患者さんへの対応は、私はかなり難しいと思っていて、経験と技術がいるんじゃないかなと感じている所です。

 

そこで今回は、質問にお答えするとともに、重度例におけるタイプ分類と臨床の考え方について少しだけお話ししたいと思います。

 

 

重度の失語症患者さんにおけるタイプ分類について 

いきなりですが、すごく重いブローカ失語と全失語って何が違うのか?と言われたら難しいですよね…。

 

理解障害の有無なり程度と言われるかもしれませんが、すごく重いブローカ失語の方が、単語理解障害がないとは言い切れませんよね。

 

というふうに、なかなか難しいんですよね…

 

例えば、重度ウェルニッケ失語というからには、発語失行はない(つまり構音は出来ている)のに、意味処理や音韻処理が重度に障害されていれば、このようになります。

 

これは、判断しやすいたとえなので悩む人は少ないと思いますが、「出来ること」を探すというのが(例の場合は、発語失行がないこと)タイプ分類はもちろん、リハビリを進めていく上でも大事になってきます。

 

このケースだと、タイプ分類は恐らく重度◯◯失語(または全失語)なると思うので、ある程度の整理できるかなと考えています。

 

タイプ分類とは関係ありませんが、重度なので「全部できないよ!」と思うかもしれませんね。

 

それでも諦めないでください!重度の失語症の方は、STが何も出来ないと誰も救える人がいないと思うんです。

 

発話はまったく出来なくても写字が出来れば、そこから語彙や音韻へ入力できることになりますし、SLTAでいう1/6の理解が出来なくても、1/2だったら少し出来るとか、模倣ならとか…なにかあるかもしれませんよね。

 

そこから、障害構造に合った訓練や、少しだけでもコミュニケーションを取る方法がみつかるかもしれません。

 

質問箱への回答

ブランクあけで復帰されたのですね^^無理なさらず、ST を楽しんでくださいね!

 

さて、今回は「疾患から症状を推測することについて」というご質問でした。

 

後で補足で説明をいただいたのですが、例えば「左◯◯の病巣→◯◯失語」「パーキンソン病→仮面様顔貌」といった方法で解釈していくというやりかたはどうなんだろう?というご質問だったかと思います。

 

実際の脳画像をみれる状況であればよいのですが、もしかしたらそうでないかもしれませんね。こういう場合は「症状」から考えていくのが無難だと思います。

 

例えば「発声が出来ない」といった場合には、色々と原因があると思います。

1.失語症

2.発語失行

3.構音障害

4.意識障害   など…

 

ほかにもあるんですけど、割愛しますね。これらのどの要因があるのか、または混在しているのかを検討します。重度例の場合は混在している場合も多いですよね…

 

ここがはっきりしてこないと、アプローチには繋がらないと思います。その意味でも、先ほどお伝えした通り「出来ること」を探すことが大事だと思っています。

 

じゃあ、画像や診断からは何も得るものがないのかと言えば、そうではありません。これらの症状を整理する上で非常に参考になります!

 

ただ、これだけで判断するとなると誤った症状解釈になってしまう可能性があるので、慎重にしなければいけません。

 

 

私も未だにゼロにはほど遠いのですが、病巣部位で判断したことによって、患者さんの個別性や特徴を柔軟に考えられなかったなと反省することもありました。

 

鑑別診断やタイプ分類の意義については、私なりに過去に考えたことがありますので、そちらをご参照ください。基本的にはどんなに重度の方でも、以下の考え方で良いかなーと私は思っています。

 

www.st-hitorigoto.com 

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重要なことは、医療者が「共通認識」を持つためにタイプ分類をおこなうのであって、そこから訓練や支援に繋げるためには、(特に重度例は)個別性がありすぎて対応できないと思うので、ぜひ「出来ること」を探してみてくださいね^^

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!