言語聴覚士のひとりごとBlog

「学生さんや新人さんが理解しやすいように」を目標に、失語症・高次脳機能障害やST業務、書籍や文献の紹介など書いていきます。

失語症の評価と訓練におけるSTの課題とは?【アンケート結果】

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はじめに

みなさんこんばんは。

 

今日は、「失語症の評価と訓練における現状と課題」について、Twitterでアンケートをとらせていただいたので、その結果についてご報告させていただきます。

 

この場をお借りして、ご協力いただいた皆様ありがとうございました。

 

アンケートをとろうと思った経緯

おそらく、失語症の評価と訓練って苦手意識がある方多いのではないでしょうか?確かに機序が複雑なため難しいところもあり、「答えがない」なかで試行錯誤しながら訓練を遂行していくことは、苦手意識を感じやすいのではないかなと感じました。

 

というのも、ここ数年、学生さんや新人さんにSLTAを教える機会があったのですが、それぞれ違った所での困難さがあることを感じました。

 

個々の苦手分野を把握しておくことは指導の際に重要となりますし、新人さんや学生さんにとっては勉強すべき部分にもなるかと思いますので、どんなことが苦手と感じやすいかを知っておくことは有益になるかと思い、実施いたしました。

 

アンケート結果

その①

 

 

まずは、全体像をと思い上記のようにアンケートをとりました。84名の方にご協力いただきました。

 

結果をまとめたいと思います。

1.検査の実施自体はある程度できる

2.検査結果の解釈や掘り下げ検査の選定は結構難しい

3.訓練内容の立案と実施が最も難しい

4.自由会話も結構苦戦するぞ…

 

 このような感じでしょうか。結果をそのまま言っただけですね笑

 

4番の自由会話については、以下のブログをご参照くださいね。

www.st-hitorigoto.com

 

さて、ここで私のアンケートの取り方が悪かったために次の疑問が生じました。笑

 

失語症の評価結果の解釈や掘り下げ検査の選定、訓練方法の立案については失語症状の「解釈」が必要となります。ここが苦手なために「どんな訓練をしたら良いんだろう」という可能性が高いと思いました。

 

しかし、「訓練の立案と実施」という何ともザックリした項目にしてしまったので、本当に上記の仮説があたっていたのかは分かりませんでした…

 

そこで、次にもう少し掘り下げてみようと思い、またアンケートをとらせていただきました。(何度もすみません…笑)

 

その②

 

◯名の方にご協力いただきました。

 

ここで、ようやく私の知りたかった答えが出ました。

 

結論から言うと、「解釈に困っていて良い訓練方法が思い浮かばない」というかたも一定数いますが、「解釈できるけど何をしたら(どんな訓練をしたら)よいかが分からない」と感じている方が圧倒的に多かったですね。

 

ここの境目は難しい所かもしれません。

 

例えば、呼称障害を例に挙げると

 

色んな錯語が出ていたり発語失行による音の誤りもある患者さんを仮定します。

 

「中等度の◯◯障害が中核にあり、そのほかに××、△△という症状も軽度だがある」というのが解釈に相当するのかなと思います。(本来はもっと詳しくその理由を述べた上でこのような解釈になると思います)

 

その次のステップとして「じゃあ訓練は何をするんだ?」という所になるかと思います。

 

失語症の領域では、まだまだエビデンスレベルの高い訓練は報告されておらず、○○にはこの訓練は絶対する!みたいなゴールデンスタンダードは出ていないように思います。みんながやっていて研究も進んでいるのは喚語困難に対して呼称を実施することくらいですかね?ここは、ST業界全体として今後取り組んでいかないといけないですね。

 

といいつつも、近年は認知神経心理学の考え方が少しずつ浸透してきたので、障害メカニズムの推定が出来れば訓練方法が導きだされるということに少し繋がってきたかなと思います。

 

個別の障害メカニズムに基づいた上で、それに加えて対象者の方の性格や生活背景を踏まえた上で、訓練を実施していくことになるので、訓練方法を考えるのは非常に難しいことですよね。

 

訓練方法の立案については本当に個別性が高いので、まず何をしたら良いかと言うと現在世のSTが用いている「一般的な訓練方法を知る」ことが大事だと思います。

 

それをきちんと理解した上で、自分なりに支援につながる方法をアレンジしていけるようになるのが大事かと思います。

 

その際に、以前ブログでも紹介したのですが書籍を参考にしています。ここでは、日本の失語症領域でご活躍されている先生方がどんな訓練を実施しているのかを学ぶことが出来ます。

www.st-hitorigoto.com

 

www.st-hitorigoto.com

 

ほかには、代表的な失語症検査「SLTA」の解釈についてもブログを書いていますので、ぜひご参照ください。

www.st-hitorigoto.com

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それに加えて、ぜひ論文も読んでくださいね^^医療従事者は最先端を知っているのが義務だと考えていますので、時々でも知識をアップデートしておいたらよいと思います。

 

おわりに

改めてアンケートをとらせてもらうと、予想通りだった部分もありましたが、思った以上に「訓練内容が浮かばない」ことで悩まれているSTさんが多いと知ることが出来ました。

 

新人さん!実習中の学生さん!ケースの患者さんの訓練が思い浮かばないとき、このアンケート結果を思い出してみてください。すこし安心しませんか?笑

 

雲の上のような感じがするかもしれませんが、みんな悩みながら臨床をしているんです。学生さんが実習で必死になっているように、臨床家も「何がこの方に必要なのか」を必死に考えながら日々仕事をしています。同じですよね!

 

その積み重ねが臨床においては大事だと思いますので、それぞれの立場で頑張っていけたら良いのかなと思いました。

 

改めて、アンケートにご協力いただきありがとうございました。今後も有益な情報を発信していけるように精進していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。