言語聴覚士のひとりごと-STブログ-

「学生さんや新人さんが理解しやすいように」を目標に、失語症・高次脳機能障害やST業務、書籍や文献の紹介など書いていきます。

重度失語症のある方への評価と訓練のヒント【質問箱への回答】

はじめに

こんばんは!

 

最近、おかげさまで質問箱が潤ってきています^^

 

今日は、重度失語の方にどんなことをしたら良いんだ?といったことについてです。なんと、タイミングよく2人の方からご質問をいただきました。笑

 

みなさんが悩むのも無理はありませんし、私も毎回すごく悩みます…失語症が重度ということは、もちろん様々な言語の機能が重度に障害されているのですが、広範な脳損傷ですので言語以外にも覚醒・注意や行為などの障害も出現してきます。

 

そのため、すごく難しいです…重度失語といっても色々ありますし、どんなに重度であっても個別性はあるので、その方に取って少しでも「出来ること」を評価して、比較的能力の保存された部分から訓練を進めていきます。

 

なかなか難しいですね😅

 

といっても、参考とする書籍や私が意識している所などは少しご紹介できると思いますので、皆さんの臨床で少しでもヒントになれば幸いです。

 

質問箱に答える形式でいきますね。

 

重度失語症例の評価について

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ちょっと気になったのですが、重度の方の場合はSLTAを「取らない」というよりは「とれない」の方が適切な気がします。重度の方でも、検査を「とれる」場合はなるべく実施した方が良いです。

 

もちろん、(意識障害の方や教示を理解できない方など)検査できる状態にない場合に無理に取った方が良いと言っているわけではないですが、適切な評価があった上での訓練です^^

 

ちょっと細かいですが、用語の使い方ってSTにとっては凄く大事だったりするので、あえて述べさせてもらいました^^ 

 

さて、とはいっても検査が「とれない」ほど重度のことは多々あるわけです。

 

そこで!!

 

おなじみの「言語聴覚士のための臨床実習テキスト」に、重度失語症の方の症例紹介がされており、評価や介入のポイントについて書いてあったのでご紹介します。

(ほんと、この書籍ブログ書く時に必須になってきました笑)

言語聴覚士のための臨床実習テキスト 成人編

言語聴覚士のための臨床実習テキスト 成人編

 

 

(全失語の患者さんに対する)ST介入のポイント(p89を参考)

脳損傷が広範囲のため、他の高次脳機能障害を合併していることも多い

・提示する聴覚的・視覚的な刺激に注意を向けられるか,線画を理解できるかなどを観察し,「実施可能な検査を選択したり,個々の患者にあわせた検査課題を作成する」

・さらに、行動観察評価もおこない多面的な情報から評価・診断をおこなう

・言語訓練は言語室の中と限定的に捉えず,自然な場面を意図的に活用した介入も有効である

・また介入する対象は患者本人だけではない。残存機能を家族や関連スタッフに説明し,コミュニケーション環境を整えることも言語聴覚士の大切な役割である

 

この書籍は本当に参考になり、個人的にも凄く好きです(笑)色んなケースレポートが載っていますし、書いている人は臨床経験豊富な先生方ばかり!

 

本当は論文を沢山読むのが良いのですが、学生さんや新人さんが「一般的な臨床のながれ」を感じるにはとてもよいと思っています。ぜひ読んでみてください^^

 

ちなみに私は、例えば理解だと

①SLTAでいう1/6の課題が出来ないのか、1/2ならどうなるのか?ポインティングとマッチングで違いはないか?

②そもそも指をさせないのか?指差しではなくカードを取る課題にしたらできないか?

③左右ではなくカードを上下においたら指をさせないか?

④言語がまったくダメなら、絵と絵のマッチングならできないか?

 

などでしょうか?その方によって反応が違うので、色々と試してみます。このあたりでなにか1つでも良い反応があれば、そこから強化していきます。

 

表出も同様で、従来の言語課題がまったく困難な場合には、ご質問者さんのおっしゃる通り系列語や歌唱などを試します。もしくは、ご家族の写真や実物の物品などを用いて会話するなど、非意図的な場面では少し発話を促せないか?などもよいと思います^^それでも発話が難しい場合には、まずは発話を用いない訓練から進めていくのも手です。

 

もちろん、全失語の方はほぼ失行の合併もありますので、評価しておくと訓練の時に配慮したりADLにも直結する部分ですので重要です。

 

最後に、重度失語症検査って知っていますか?1度、みてみると重度失語症の方の評価ポイントについてイメージが分かると思います。

私も頻繁に実施する検査ではありませんが、内容を把握しておくのは大事だと思います。

 

参考書について

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学生さんからのご質問ですね。ありがとうございます。

 

先ほどまで散々紹介した、臨床実習テキストの「全失語」のケースレポートはとても勉強になりますね。

 

あとは小嶋先生の書籍をもちいて勉強していました。

 

特に上のほうの書籍は、重度の失語症がある方についてもきっちり記載されているのでおすすめです。

失語症の障害メカニズムと訓練法

失語症の障害メカニズムと訓練法

 
なるほど!失語症の評価と治療―検査結果の解釈から訓練法の立案まで

なるほど!失語症の評価と治療―検査結果の解釈から訓練法の立案まで

 

 

あとは、たくさん論文を読んで実際に患者さんについて悩むことが大事です。どんどん先輩に質問したり、もし1人職場なら違う職場のSTと関わる機会を持ったり、地区の症例検討会に参加したりするなど、思考したりアウトプットしたりする機会を積み重ねることが大事だと考えています。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?

 

もしかしたら、そんなのは分かっているけど…!という方も居たかもしれませんね。

 

ただ、個別の患者さんは本当にみなさん違っていて、「全失語」といっても全然違います。(個別性については以下のブログを参照してください)

www.st-hitorigoto.com

 

 「何ができて何ができないのか」の的確な評価をして、そのうえで個別性にあった訓練や支援、ご家族へのフォローなどが重要となってきますので、ぜひ成書や論文などで調べる癖をつけていただけたら良いかなと思います^^

 

もちろんTwitterもうまーく使いたいですね^^最近オンライン勉強会も実施していますので、そちらも活用してもらえたら良いかなと思います!

 

【宣伝】

質問箱はもちろんですがDMなどでも「こんなことに困っている」などのご相談をお受けしておりますので、ぜひ個別にもご相談ください。ブログにアップさせていただくこともあるかと思いますが、よろしくお願いします。

 

また、多くは対応できませんが「文字で打つより実際に話して相談したい」という場合には、ZOOMを用いた音声通話でのご相談も可能(もちろんTwitterアカウントでOK)ですので、もし希望がありましたら私までDMいただけたらと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!