言語聴覚士のひとりごとBlog

「学生さんや新人さんが理解しやすいように」を目標に、失語症・高次脳機能障害やST業務、書籍や文献の紹介など書いていきます。

SLTA中止基準の扱いについて

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SLTAにおいて、中止基準の扱いをどうするのか?

 

というご質問をいただきました。

 

Twitterでも賑わいましたね(笑)


コメントいただいた皆さん、大変勉強になりました。ありがとうございます。

 

たくさんコメントをいただきとても嬉しく思っています。これを読むだけでも、皆さん勉強になったのではないかなと思います。もちろんわたしもです。

 

というわけで、勉強しようと思い、改めてマニュアルを読んでみました。

 

以下に、中止基準について私なりにまとめてみましたので、参考にしてみてください。

 

中止基準の目的

1)重症な患者に困難な課題を最後まで続けることは心理的にかなりお負担を与える可能性がある

2)検査所要時間を減少させることができる

SLTAマニュアルより

 

大前提として、上記のような目的があって実施しています。

 

SLTAに限らず心理的な負担を考慮するのは大事なことですね。

 

中止基準の設定

中止基準を採用せずに全問おこなった場合と、中止基準を採用して中止したと仮定した場合の得点差を350名(失語症200名、非失語症150名)で計算し、中止基準を用いたために得点が減少した患者を350名中10名前後におさえることとした。

SLTAマニュアルより

 

これは興味深いですね。なるべく得点が変わらないように中止基準が設定されているということになりますね(よく考えればそりゃそうだ、ですよね笑)。

 

そして、「中止基準を採用して中止したと仮定した場合」と記載されています。つまり、SLTAを作成した時の標準化を行う作業では「中止基準を用いず全ての課題を実施した」ということなのかなと思います。(ちょっと自信ないので違ったらご指摘ください…)

 

また、このようにも記載されています。

実際には中止基準で中止すると、350名中10名に得点の減少があることがわかる。したがって中止基準の採用にあたってはそのずれを考慮しなければならない。そこで重症な患者でも身体的・精神的に余裕がある場合には、中止基準を用いずに、全下位検査を施行することが望ましい

SLTAマニュアルより

 

これをみると、マニュアル的には「なるべく中止しないで検査してくださいね」ということが伺えます。

 

下位検査別得点について

SLTAのマニュアルには標準化された時のデータが載っています。

 

これ、ちゃんとみたことあるでしょうか?マニュアルの熟読は、神経心理検査をおこなうさいには必須だと思いますので、ぜひ読んでみてくださいね!

(といいつつ、わたしもデータは久々に見ましたが…おはずかしい。)

 

そして、この下位検査別得点には「中止基準を採用したときの成績」とは一言も書いていません。

 

ということは、中止基準を採用せずに出したデータなのかなと推測されます。

  

まとめ

マニュアル自体が中止基準を設けているにもかかわらず、「全下位検査を実施するのが望ましい」となっているので、結構混乱があるかもしれないですね。

 

色々と考えての私なりの結論です。

 

本来、SLTAは結果を解釈して訓練に結びつけるものなので、臨床的には「患者さんの心理面に十分配慮したうえで」実施できるところは実施すると良い。ただし、中止基準によって少数は結果が変動するので、他施設への報告書や経過を追う場合にわかるようにしておく(または同様の項目で比較する)。また多数例の研究や同一担当者でないSTが評価を行う場合には、中止基準をどう扱ったのか、説明や統制をしておく。

 

いずれにしろ中止基準に従ったのか、すべて実施したのかを、あとから振り返る時にすぐわかるようにしておくのが大事ですね。

 

上記のポイントを検査者側が理解していれば、データを扱う時にも個々の対象の方の支援に繋げる時にも、柔軟に対応できるのかなと思いました。

 

そして、もちろん検査実施前にマニュアルを熟読しておくのは大事ですが、こういう疑問が生じたときに、皆さんで解釈について考えることは有意義だと改めて感じました。

 

そして、わたし自身も、新たな疑問が生まれて調べたことで、今までふわっとしていたことが少し整理できた気がします。

 

なるべくマニュアルの内容を引用し、論理の飛躍がないように注意しましたが、正直、自信のない部分もありますので、追記すべき内容などありましたらご教授いただけたらと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!