言語聴覚士のひとりごと-STブログ-

「学生さんや新人さんが理解しやすいように」を目標に、失語症・高次脳機能障害やST業務、書籍や文献の紹介など書いていきます。

症例報告での学会発表や論文投稿【まとめ】

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はじめに

つい先日、以下のようなツイートをしました。

 

私は「1症例について真剣に考え、可能であれば外部で発表をおこなうこと」が臨床能力を向上する上で非常に重要であり、この作業こそ臨床家の勉強法だと考えています。

※もちろん他の方法を否定しているわけではないです。笑

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今日は、症例報告で学会発表をしたり論文を書く意味について、まとめてみました。

 

ちなみに、今回は院内や法人内での発表は想定しておらず、学会発表や論文投稿について扱っています。両者は対立する関係ではなく、どちらも大事だと私は考えています。

 

以下の記事も、よかったら参考にしてみてください。

www.st-hitorigoto.com

 

最初に目指すのは「学会発表」

STであれば、たとえば日本言語聴覚学会、日本高次脳機能障害学会、日本摂食嚥下リハビリテーション学会など、STが集い発表する学会もあれば、ST以外の多職種が集い議論する学会もあります。

 

どの学会で発表したらよいかについては今回触れませんが、発表している方はおそらく時期や発表内容によって選んでいるかと思います。

 

はじめて発表する場合は、抄録を作成することも発表スライドやポスターを作成することも、とっても大変だと思います。

 

私も、最初は相当大変でした。

 

大まかにやることを以下にまとめてみました。

 

1.自身が経験した症例の病態や経過を嘘偽りなくまとめる

これ、凄く大事です。

 

教科書に当てはめて、ただ中心前回で発語失行が出たと記載しても、それでは全然足りなくて「どんな発語失行か」ということが大事なんです。

 

これは嚥下や構音障害などでも同様ですね!

 

2.先行研究をレビューして、経験した症例と比較する

これも大変です!笑 

ただ症例報告の場合、類似した症例はほぼ過去にされていると思っていた方が普通で、それらをまとめて本例とどこが同じで何が違うのかを知る必要があります。

 

これを疎かにすると、せっかく発表したのに、「そんなの当たり前だよ、〇年に報告されてたでしょう」となったら残念ですよね😅

 

事前準備はとても大事です。

 

3.発表を通して何を伝えたいのかの目的を明確にする

症例発表での時間は、口頭で6-7分、ポスターは5分程度しかありません。

 

色々と調べたりしていると、あれもこれも大事!となる気持ちもわかりますが、限られた時間で理解してもらうためには、せいぜい1-2個が限度ではないでしょうか?

 

このように、準備することは沢山あります。

 

ちなみに、これらは抄録を出す段階で頑張ってやっておくことをおすすめします!

 

発表のプランが定まらないまま、抄録を作成して、演題が通ったとしても、発表前に絶対苦労します笑

 

これらをやった上でスライドを作成し、院内で発表したり添削してもらったりして、発表を迎えます。

 

どうでしょう?これだけやったら、実力つくと思いませんか!?笑

ここまでの準備をやりきったことで、既にあなたが学会発表を決意したこと自体は成功だと思っています。

 

あとは本番で自信持って発表してきましょう!

 

そして、質問には謙虚な姿勢で答えましょう。批判的な意見であっても、1度は受け止めて冷静に答えてください。

 

肯定的な意見も批判的な意見も、必ずあるものです。終わったあとは、その意見を活かせば良いんです。

 

私がはじめて学会発表したときの感想にもし興味があれば、以下の記事を笑

www.st-hitorigoto.com

 

質問にどうやって答えるのか?の考え方についてはこちら

www.st-hitorigoto.com

  

症例報告で「論文」を書くこと

さて、ここまで学会発表について書いてきましたが、最後に論文についてです。

 

論文だからといって、学会発表とやることは変わりません。

 

ただ論文は段違いに大変です。考えていたこと1つ1つの精度を高めて、それを文字として正確に表現することが非常に重要です。

 

例えば、学会発表は質疑で指摘されなければそれで終わりですが、論文はそうはいきません。

 

査読といって、審査員から論文に対する評価と指摘がくるものがあります。かなり細かいところまで、報告した内容や考察で論理が飛躍していないか、論文に値する内容かをチェックされます。

 

これがまた、大変なんです笑 査読に対応するために沢山論文読んだり、どのように改訂するかを考えたり、それに合わせて実際に論文を修正します。

 

 

そうですね、5倍以上かも…と思います(笑)でも、その分得るものも5倍以上だと思います😊

 

 

いま私が執筆している論文は、2度ほどrejectといって採択されなかった内容です。その中で、3度目の正直を狙っているところですが、ここまで結構キツいご指摘を沢山いただきました。

 

ここで、逆ギレして放棄しまうのは簡単なんですが(笑)、1つ1つ丁寧に返答したり修正したりすることで、少しずつ、より良い論文となってきている気がします。1年間以上かかることもしばしばありますね😅

 

自分の経験した症例に対し、ここまで詳しくコメントを貰える機会は、絶対に論文以外ではあり得ないと思います。

 

査読者はほぼ?ボランティアとのことで、感謝しかありません…実際、査読対応することで論文はより良いものに仕上がっていきます😃

 

 

私はまだ1度ですが、通った時は実感が湧かない気持ちと、その反面なんとも言えない嬉しさがありました。

 

また、みんなおめでとうと言ってくれたのですが、特に論文を書いたことのある人は、その大変さをよーく理解してくれているので、自分のことのように喜んでくれました。

 

その後、実際に論文の形式で出版社の方から校正が入り、晴れて論文掲載となります。

 

これだけ、少なくとも半年から1年以上は1人の方について向き合うことは、論文書かない限りまずないと思います。

 

やるやらないはおいといても、そういう過程を踏んでいるということは知っておいても良いかもしれないですね😃

 

独学で症例報告をおこなう場合はどうする?

はじめてやるとなると1人では非常に厳しいです。私も指導してくださる方に多大に助けていただきました。

 

もし自力で頑張る場合、OTの竹林崇先生が、noteで「事例報告スターターパック」を安価で販売しています。

https://note.com/takshi77/m/m4090a3dd9cbb

 

私も購入しましたが、症例報告を行うために必要なことが非常にわかりやすく記載されています。

 

STにも当然適用できる内容ですので、おすすめです!

 

まとめ

色々と書きましたが、私が言いたいことをまとめますね。

 

臨床で言語聴覚療法を提供している以上、普段おこなっている評価や訓練に疑問を持ち、それを検証したり誤っているなら改めたらするなど、振り返る機会を持つことが大事です。

 

それをおこなうためには、症例報告をおこなうのが最も効率が良いと考えています。

 

まずはサマリーを書いて同僚と話すだけでも、得るものは沢山あります。自分にあった段階から、はじめてみませんか😀?

 

長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました😊