言語聴覚士のひとりごと-STブログ-

「学生さんや新人さんが理解しやすいように」を目標に、失語症・高次脳機能障害やST業務、書籍や文献の紹介など書いていきます。

【国試対策】前頭葉損傷で起こる症状

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国試の問題に関して、以下の問いに関する質問をいただきましたので、回答したいと思います。

 

なお前頭葉損傷では、以下の問題意外にも沢山症状がありますので(例:人格変化、遂行機能障害など)、あくまでこの問題に関する回答として考えていただけたらと思います。

 

 

問題

4-127)前頭葉損傷で起こらないのはどれか

・健忘

・保続

・失語

・失認

・失行

 

質問内容と回答

1.それぞれ具体的にどういう障害・疾患を思い浮かべていいか分からなかった

 

・健忘:前脳基底部健忘

※健忘とはいいませんが、外側面損傷によるワーキングメモリ(作動記憶)の障害も前頭葉ですね。

・保続:言語性保続や行為の保続も起こりますね。

・失語:ブローカ失語、超皮質性運動失語、超皮質性感覚失語

・失認:前頭葉では起こらないので、これが答え

・失行:肢節運動失行(拙劣症)、脳梁離断による左手の観念運動失行

 

これぐらいは出てくるでしょうかね?

 

2.健忘は、エピソード記憶の障害(前向性・逆向性健忘)ということでしょうか?

前向性・逆向性健忘は前頭葉だけでなく様々な場所で起こります。例えば海馬は前頭葉ではないですよね。

 

この場合は、純粋健忘症候群を想定していると思います。

 

 

純粋健忘症候群の定義は以下の通りです。

(1)知能が正常(知能検査の成績が正常範囲内)

(2)スパンが正常(基本的な注意機能と短期記憶 が正常)

(3)重篤で持続的な事実や出来事についての情報 の獲得障害(学習障害ないしは前向性健忘

(4)発症以前に蓄えられた情報の想起障害(逆向 性健忘)

(5)潜在記憶の保持(プライミング,手続き記憶 などの保持)

三村(2008)より 

 そして、この純粋健忘症候群では3つの部位で生じやすいです。

1.間脳性健忘(コルサコフ症候群、視床性健忘)

2.側頭葉性健忘(海馬およびその周辺領域)

3.前脳基底部健忘(前頭葉の底面付近)

三村(2008)より

 

 もう少し詳しく知りたい場合は、三村先生の論文を読んでみてくださいね。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/28/2/28_2_206/_pdf

 

国試の問題を改めてみてみると面白いですね😃

残り1ヶ月を切っていますので、今年受験の皆さんは悔いのないようにラストスパートをかけてくださいね!